四柱推命における十二運(十二運星)の意味と鑑定法

著者・田中(あらいちゅー)の自画像田中(あらいちゅー), 馬主で大家で占い師田中(あらいちゅー) @araichuu Twitter

十二運(十二運星)とは?

十二運星の意味

四柱推命で命式に現れる十二運(十二運星)ですが、その意味と具体的な使い方は流派によって諸説紛々となっています。各流派で共通しているのは呼び名と算出法くらいでしょうか。このページでは、十二運(十二運星)の具体的な意味と、古典的・現代的な使い方をご紹介します。

十二運(十二運星)の種類とそれぞれの意味

まずは、十二運(十二運星)それぞれの持つ意味を見ていきます。現代的な四柱推命では、死だから無条件で悪い意味であるとか、帝旺だからだいたい幸運であるとか、一面的な見方はしません。ただし古い四柱推命では、運勢判断をする際は帝旺がよく、死であれば良くないといった一面的な判断をすることが多いようです。

「長生」の意味

長生は人間の誕生を模したものと考えられています。誕生したばかりの人間には運命があっても個性はなく、泣き叫んでしがみつくのみです。そこから非力、没個性、執着といった意味が出てきます。そしてこれから成長する子ですから、新しもの好きで、変化を尊ぶという一面があります。また乳児は愛らしいものですから、人気や人当たりといった意味もあります。

「沐浴」の意味

沐浴は長生の次の段階であり、生まれたばかりの乳児がだんだん環境に晒されていく状態です。まだまだ人間としては弱く、判断力もありません。そのため迷いであったり、優柔不断であったり、社交性の低さであったりという意味があります。マルチ商法や悪徳宗教にハマりやすいという懸念もあります。しかしまだ乳児としての愛らしさが備わっているため、性格はおおむね温厚で、感受性も強く、人からの印象は悪くありません。

「冠帯」の意味

冠帯は少年が成長し、物心がついた頃合いのイメージです。元気に育つという意味があります。また、向上心や野心といった意味も感じ取れます。外交的で、早く外の世界に飛び出たいとウズウズしています。性格的には伸び伸びとした子供が自我を持った状態であることから、優しいガキ大将のような雰囲気があり、目下を助ける一面もあります。意味合いが悪い方向に出ると、若くて頼りないリーダーのような状態になり、問題や周りからの不平不満が多くなります。

「臨官」(建禄)の意味

臨官は建禄とも呼ばれます。青年期から壮年期のイメージです。子供時代とは違い、深い思索があり、落ち着きも感じさせるのですが、心のなかでは大人独特の焦りや憂いが渦巻いています。思いを形にするだけの実力があり、社会人としての良識も備わっています。生き方は堅実ですが孤独であり、穏やかではあるものの社交性には乏しいという状態です。このため結婚運や恋愛運は弱くなりがちで、見合い結婚に向くと考えられます。

「帝旺」の意味

帝旺は人生の絶頂期のイメージです。壮年期を過ぎ、地位や権力、財力、器といったものが備わった状態です。人生経験からくる粘り強さがありますが、それは自己の能力を信頼しているところから来ています。そのため自分中心、強引、自尊心といった意味合いがあります。欲望に素直であり、金銭欲や性欲の強さを感じさせます。

「衰」の意味

衰は絶頂期である帝旺を過ぎ、人生が秋に変わりつつある状態です。まだ帝旺の余力があるため、強さを完全に失ってはいません。そのため帝旺に準じて性格を考えますが、心はおだやかになり、人生の天井が見えたことから諦めや余裕のようなものが出てきます。控えめで内気な帝旺といったところでしょう。そのため人当たりが良くなり、男性も女性もモテるようになります。引退直前のサラリーマンのように、趣味や芸術に興味があり、貯蓄があります。趣味の世界や交友も広そうです。

「病」の意味

病は年老いて病を受けた病人というイメージですが、病がくれば病気になるといった意味ではありません。床に伏している病人の精神状態をイメージしてください。静かで動かず、深く思索し、細かいことに気が付きます。病気の回復を望む向上心があり、外の世界を見たいという夢もあります。また自分に残された時間を考えて、一秒一秒を真剣に生きているはずです。病は性格判断的にはとても魅力的な星なのです。病人としての焦燥感や不安定さはあるのですが、人格的な深みと魅力があることから、対人運や社交運、恋愛運や結婚運は悪くない面があります。

「死」の意味

死も悪いイメージのある十二運(十二運星)ですが、病と同様に単純な判断はせず、「静かである」という意味合いを見ていきます。死者は落ち着いており、飾りません。執着もしないため、性格もあっさりです。肉親とは縁が薄くなり、どことなく孤独さはありますが、洒脱な諦めもあります。しかし人からは敬われるという一面もあります。沈着冷静な面から手先が器用で、技術職に適性がありそうです。面白いことに、死という星なのですが、外科医師や歯科医師にも向いています。

「墓」の意味

死して墓に入るという意味から、動かない、重しや守るものがある、モノが大事といった意味合いを見ていきます。そのため性格としては良くも悪くも保守的で、新しいことよりは古いことを続けるほうに適性があります。収集癖がありますが、それは形として目に見えるものです。派手さのあることや活発なことには向いておらず、例えば投資をするのであれば、株やFXではなく預金や国債に回したり、不動産の現物などでじっくり運用するのが良いでしょう。結婚運も薄めとなりますが、墓というイメージから保守的な人や、おだやかな人を相手にするのであれば、かえって良いと見ます。

「絶」の意味

絶は絶体絶命の絶ではあるのですが、弱さが極まったところに新しい季節、新しい芽吹きへの兆候が生まれています。進歩的でノリが軽く、気分屋といったイメージです。自分がまだ十分に強くないことを自覚しており、そのため謙虚さも兼ね備えています。人間としては魅力的なのですが、調子が良すぎることからトラブルに巻き込まれたり、詐欺被害にあったりするという意味合いもあります。またお人好しであり、押しにも弱く、人に貢献して尽くすため、愛人であったり、シングルマザーという意味合いもありそうです。

「胎」の意味

胎は命として母胎に宿った小さな胎児です。母に命を委ねている状態ですから、人をたよる、線が細い、性格的な弱さといったイメージがあります。自分がどのような人物になるか、いまの時点ではわかっていませんから、あまり考えもなく、とにかく手についたものから始めるという要領の悪さもあります。しかし母胎に宿る子として愛されており、話し上手で気持ちの良い人物という印象を周りに与えます。

「養」の意味

養はこの世に生まれ落ちる少し前であり、母胎から養われている段階というイメージです。着実な成長という意味合いが強いのですが、最終段階を人に任せているという意味から、のんきな性格であったり、他人任せな点があると見ます。そのぶん独立心に欠けたり、箱入り娘になったりという意味合いもあります。ご都合主義で独創性には欠ける星です。そして養は性別が定まる時点ですから、性欲が強くなるという意味合いもあります。

十二運(十二運星)の具体的な使い方

続いて、この十二運(十二運星)の意味を、実際の鑑定でどう使うか見ていきましょう。

四柱推命にはいろいろな流派があるのですが、旧来的な使い方として横井伯典先生の方式を、台湾寄りのモダンな使い方として東海林秀樹先生の方式を紹介します。ともに参考文献もご紹介します。

現代的な四柱推命では十二運を見ない?

透派が隆盛したあたり(20〜30年前)から、四柱推命は五行の力量のみで推すべきだという考え方が日本で広まり、国内では十二運(十二運星)を見ない推命家が増えました。

最近は台湾や香港の四柱推命が再輸入されており、神殺や十二運(十二運星)もまた鑑定で使われるようになってきています。

十二運(十二運星)の使い方(1)…性格を見て運命を見ない

こちらは横井伯典先生が「四柱推命術本義」で紹介していた方式です。具体的には、十二運(十二運星)は性格判断に使うのみで、五行の強弱への影響を考慮せず、しぜん運勢の良し悪しにも影響しないという考え方です。

(しかしながら、この本には十二運が年月日時どの柱にあるか、男命か女命かの分類で、運勢の良し悪しについても記述があります)

どの十二運(十二運星)がどの柱についているかで、人生のどの時期に、十二運(十二運星)の意味合いがその人の性格として加味されるかを判断していきます。具体的には、年柱についたが十二運(十二運星)の意味は幼年期とイザという時に現れ、月柱が30代、日柱が10代から30代、時柱が10歳くらいまでと最晩年、という扱いになっています。

横井伯典先生の説では日柱は10代から30代に強く出るとのことですが、個人的には人生全般において、性格の基礎部分を占めるように思います。

なおこの「四柱推命術本義」には、扶抑や格局という概念が抜けており、あくまで通変星と十二運(十二運星)と神殺で見ていく方式ため、現代の四柱推命の入門書としてはお勧めしづらいのですが、横井先生が実占で身につけたコツをまとめたものだと考えると大いに価値があります。

こういった古い東京の四柱推命を、後述する東海林秀樹先生は「親しみやすいが吉凶判断に甘さがある」と評しています。

十二運(十二運星)の使い方(2)…性格を見て運命への影響も見る

続いて、東海林秀樹先生の方式です。これは東海林秀樹先生とお弟子さんの照葉桜子先生が「四柱推命 (エッセンスシリーズ)」で紹介していたものになります。

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具体的には、抑扶法で命式の喜忌をまず決めて、

  • 日干が身弱…日干を強めるものなら十二運(十二運星)の良い意味が出てくるし、日干を弱めるものなら悪い意味が出てくる。
  • 日干が身強…日干を弱めるものなら十二運(十二運星)の良い意味が出てくるし、日干を強めるものなら悪い意味が出てくる。

という考え方です。個人的にはこれが一番スマートだと思います。どの十二運がどちらに該当するかなど、細かく気になる方は上記書籍をご購入ください。

まとめ・現代的な四柱推命で十二運をどう使うか?

十二運(十二運星)の意味合いと具体的な使い方を解説してきましたが、関西の泰山流での扱われ方や、台湾現地での使い方など、まだまだ異論があることと思います。ひとまずは横井伯典流で性格判断の一要素として使い、慣れてきたところで東海林秀樹先生の方式に従って、喜忌も加味していくのが良いと思います。

そこから先は個々人の勉強というところですが、十二運(十二運星)自体は現代的な四柱推命の本筋ではないので、どこまで力を入れて学んでいくかは難しいところです。しかし試していくうちに「これは当たる」と感じるのが十二運(十二運星)の魅力です。

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上記のページにも書きましたが、十二運(十二運星)からは六星占術などのあまたの占いが生まれています。それだけの魅力があるパーツなのです。

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