四柱推命には大きく分けて3タイプがある
現代の四柱推命には、大きく分けて3つのタイプがあります。まずは中国式の四柱推命で、これは古典を尊重しつつ、中華圏で近代化を遂げたものです。そして日本の四柱推命は旧来型と現代型に別れており、ほとんどまったく別の術となっています。
また、中国式の四柱推命と日本の現代型の四柱推命は近い思想から成り立っていると言えますが、それでも鑑定の手順や結果が完全に一致することは稀です。本稿では、中国式・新日本式・旧日本式のそれぞれについて、具体的な違いをざっくりとご紹介します。
1.中国式の四柱推命
中国式の四柱推命は、陰陽と五行のバランスを大事にしつつも、格や神殺、方や局などを必要に応じて縦横自在に使い、古典(原書)のやり方を尊重するのが特徴です。台湾や香港のまじめな占い師さんがやっている四柱推命、といったところでしょうか。あちらでは「八字」「子平」と呼ばれています。
日本では主に鮑黎明先生が広めていましたが、先生がお亡くなりになった後は下火となりました。しかし2010年代に入って、占い業界の若きエース・山道帰一先生や田中要一郎先生が、筋の良い台湾書を翻訳出版してくれています。
このように、少しずつではありますが良い本が出てきています。しかし、中国式の四柱推命はロジックがかなり複雑になりますので、日本人が独学しようと思っても、習得はかなり苦しいと言えるでしょう。田中要一郎先生がオンライン講座を開いているので、参加するのも良いと思います。
2.古い日本式の四柱推命
古い日本の四柱推命(旧来型)は、正官・食神といった通変星の種類や、空亡など神殺の有無を主体として判断を下していくものです。五行の力量バランスをあまり重視せず(まったく見ない人もいます)、「命式のどこにどういったパターンがあるか」だけを採り上げて判断する、日本生まれの複雑なおみくじといった占いです。
おみくじ的な占いなので、パターンを覚えてしまえば運勢判断は簡単なのですが、高度な鑑定をしようと思うと行き詰まります。そして、行き詰まったところで中国式や現代日本式を学び直すか、改めて別のおみくじ理論を持ってこねばならず、そのせいで「入門は簡単だけど深い段階までの到達は至難、到達したところで実践でズバズバ当てられるかどうかは…」という手強い四柱推命になっています。
古い日本式の四柱推命でも十分に役に立つ?
平成初期までは、このタイプの四柱推命が日本の業界標準でした。もしかすると、今でもナンバーワンシェアかもしれません。歴史もそこそこあり、おみくじのパターンもある程度洗練されてきているので、長期の運勢を見たり、深い鑑定をしたりは苦手なのですが、性格や相性占いなどには一定以上の的中率があります。周易やタロットと組み合わせ、補助的に用いる前提で勉強するのが良いと個人的には思います。
古い日本式の四柱推命を広めたのは誰か?
この旧型の日本式四柱推命、誰が広めたのかは残念ながらわかりません。日本に初めて入ってきた四柱推命本である、桜田虎門の「推命書」が全部悪いという人もいます。しかし四柱推命を日本中に広めたのは京都の阿部泰山先生ですから、ここが大元ではないかと私は思っています。
泰山流の四柱推命はとても難解なため、簡単な部分だけが取り出されて一般書となり、マスコミでいじり倒され、大事な部分をほっぱり出して定着してしまった、という推理です。当たっているでしょうか…?
3.現代的な日本の四柱推命
上記のような旧来型の四柱推命に対するアンチテーゼとして、1990年代から2000年代にかけて盛り上がり、オンラインで活動する若い占い師を中心に広まりだしたのが、現代的な日本の四柱推命です。
当初は武田考玄氏や透派と呼ばれる流派の方式が主流でしたが、以降は建設的な批判を受けて、細かく枝分かれしていくことになります。
現代的な日本の四柱推命の特徴として、神殺や通変星を使ったおみくじ的な判断法を極力排除し、五行の力量バランスや干支の性情、調候などに重点を置いた鑑定法が挙げられます。古典のエッセンスも多分に入っていますが、滴天髄と呼ばれる書物が最重要視されている印象です。
現代的な日本の四柱推命の占い方
おおむね、八字から五行のバランスを測る→格を決める→喜忌を決める→それに沿って通変星や定位を組み合わせて鑑定を進める、という流れになっていると思います(流派ごとにシステムはそこそこ違います)。
流派ごとに理論がある程度整理・統一されており、判断法もきわめて明快なのが、現代的な日本式の四柱推命の特徴です。理論が整理されているので、習得もしやすく、実践に移すのも比較的容易だと思います。
しかしながら、現代的な日本の四柱推命は、神殺などの雑多なパーツを使用しないところが仇となり、実占で細かな出来事や下世話な事件を当てることが難しくなっているようにも思います。
基礎理論をしっかり学んで、こういった事象を論理的に推測できるところまで上達できるか、というのが鍵になるのでしょう。
現代的な日本の四柱推命を広めた占い師は?
日本では昭和中期〜末期に透派(佐藤六龍先生、張耀文先生など)が先鞭をつけ、武田考玄先生などがこのタイプの四柱推命を広めてきました。ただし、武田考玄先生の四柱推命は呉俊民老師の「命理新論」が種本と言われていますから、どちらも台湾系の四柱推命が日本化されたものとも言えます。そして平成に入って陽史明先生が登場し(残念ながら亡くなられました)、現在は泰山流の梅川泰輝先生などが精力的に活動されています。
手元の四柱推命の本を整理してみませんか?
以上、日本式と中国式の四柱推命をざっくり3タイプに分類してみました。みなさんお手元に四柱推命の本が色々とあると思いますが、一度それを上記のタイプ別に分類してみてください。それぞれが別の占いといって良いくらい差別化されているので、一つのタイプをじっくり掘り下げず、横断的に学んでいると、学習が行き詰まりやすいのではないかと思います。同学のみなさまのヒントになれば幸いです。
これから四柱推命を勉強するなら日本式? 中国式?
これから四柱推命を勉強されるという方は、個人的にですが、現代日本式の四柱推命で「占いを理論的にどう運用するか」を学んでから、中国式に手を出されるのが良いと思います。そのほうが飲み込みが早くなる上に、鑑定の幅も広がるでしょう。ただし、お近くによい占い教室があったり、よい先生についていらっしゃる方は、いきなり中国式で始めてもよいかもしれません。
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