お客様や職場に愛される良い占い師とは? 占い学校の元スタッフに聞いてみた

著者・田中(あらいちゅー)の自画像田中(あらいちゅー), 馬主で大家で占い師田中(あらいちゅー) @araichuu Twitter

良い占い師になれるのはどういう人?

占い師になれたとしても、良い占い師になれなければ続きませんし、収入の面でも期待はできないでしょう。占い学校にスタッフとして在籍し、その後プロ占い師としてデビューした高遠明日香先生に、良い占い師とはどういう占い師なのか、占い学校と鑑定現場のリアルなところをお伺いしました。

良い占い師とはいったいどういう占い師?

良い占い師、というのは「仕事を任される占い師」という意味です。同時に「クライアントから信頼される占い師」ということでもあります。この二つを満たす最低条件として私は「話を聞けること・思考の柔軟性があること」をあげます。

話を聞けることは占い師として大前提のスキル

占い師の仕事で一番重要なのは、実はタロットを引くことでも、命盤とにらめっこをすることでもありません。「目の前の相談者の話を聞くこと」なのです。

相手が何に悩んでいるのか、どこに苦しさの元凶が隠れているのか、まず聞くことから占いは始まります。また占いに来るお客様の大部分は、その悩みを誰にも相談できず、一人抱え込んでおられる場合が多いです。それを占い師に話すこと、ただそれだけで精神的に楽になる場合があるので「聞く」という姿勢はとても大切なのです。

思考の柔軟性がなければお客様に寄り添えない

もう一つの「思考の柔軟性」というのは、占った結果を伝える時に必要になります。例えば「恋人とうまくいってない。これからどうなるか」という相談で結果が、どう見ても「別れる」だった時、相談者が今置かれた状況と本人の気持ちによって、その伝え方は様々となります。

相談者は別れたくないが、恋人は気持ちがないという場合。逆に相談者がもう恋人にほぼ愛想を尽かしている場合、同じように「別れた方がいいですね」と言って相手は納得するでしょうか?

後者のパターンは問題ないかもしれませんが、前者にはその場で大泣きされてしまう可能性があります。

前者のパターンにしても、恋人との交際期間や関係性によって伝え方は変わってくるでしょう。どんな場合でも「別れる」という結果を相談者が納得できるように、言葉選びや説明の面で工夫が必要なりです。どうすれば相談者に一番届くのかを的確に判断し表現すること。これに必要なのが思考の柔軟性なのです。

占い師がお客様に感情移入しすぎるのも良くない

このように、相手の話を聞く姿勢はとても大切なのですが、話に感情移入しすぎてしまう場合は気をつけた方がいいでしょう。

占いというものは客観性が要求される仕事です。相手の話に同調しすぎてしまっては、信のおける結果は出ません。つらい気持ちを理解することは必要でも、占い師まで同じようにつらくなってしまっては、誰が占いをするのでしょうか。

相談者に来てくださるお客様も人間です。多少は事実と違うことを話したり、都合の悪いことをあえて話さなかったり、そういうこともあるでしょう。話を信じるか否かではなく、あくまでも客観性を失わずに、相手の話を聞き理解する能力が必要なのです。

「良い占い師」について高遠先生に具体的なところを聞いてみた

―良い占い師=仕事を任される占い師というお話、興味深く聞かせていただきました。もう少し掘り下げて、具体的というか、鑑定の実務でどうふるまえばいいのか、ということを教えてください。

高遠先生「これはですね、実はとても簡単なんです。“遅刻をしない、時間とスケジュール管理がしっかりできる、連絡や報告をきちんとする”といったことができるかどうかです。このポイントが非常に高いです」

―え…それって…当たり前のことじゃないですか?

高遠先生「そうなんです。当たり前ですが、占い師も職業として成立している以上、社会人としての常識やマナーが求められます。…なんですけども…占い師って雰囲気独特な方多いですよね。一部には浮世離れしすぎてて、この当たり前の感覚をなくしてしまっている方もおられるんです。占いのスキルは文句なしだとしても、その前段階、つまり占い館に所属する・イベントなどに出演するうえで、事務上の手続きなどが必要ですし、占い師ではないスタッフの方々とも関わります。この時に“社会人として当たり前のことができていない占い師”によって現場スタッフが多大な迷惑をこうむる…印象としてはどうなるでしょう?」

―その方の占いって本当に信用できるのか疑ってしまいますね…。

高遠先生「人となりがそこで判断され、お店やお客様にスキルも疑われてしまうということです。何も完璧なビジネスマナーを身に付けろという話ではありません。時間を守り遅刻はしない、ダブルブッキングせずスケジュールを管理する、請求書など提出を求められれば迅速に対応する。社会人として仕事を任せられると信頼を得た上で、占い師として腕を振るえば、事務方さんとお客様の双方から、“良い占い師さん”と評判を得られることでしょう」

―“仕事を任せられる占い師”というのはそういう意味もあるんですね。

高遠先生「これは、私が個人的にイベント鑑定を依頼された時、そこの責任者の方からうかがった話です。その方は前々から占いに興味があり、イベント鑑定を企画していたんですが、希望する占い師を思うように見つけられなかったらしいのです。過去にデパートの催事場で鑑定を受けたことがあったけれど、良い占い師ではなかったとおっしゃっていました」

―どんな方だったんでしょう?

高遠先生「部屋着のようなよれよれのセーターを着た、ご年配の女性占い師さんにタメ口で説教されたのがトラウマになった、と…。私は当時、占い学校で事務スタッフとしても働いていたので、人づてに私のことを“普段事務もしている若手占い師”と聞いていたそうで、それなら変な服で来たりお客様にタメ口で話したりしないだろうと。そんな話でした」

―それはまさしく先ほどの話の“社会人としての常識やマナー”に当てはまりますね。

「実はこの話には、もう一つちょっとしたポイントがあります。“部屋着のようなよれよれのセーター”です。もちろん仕事をするのに部屋着のような格好で来るのはNGという社会的なマナーもありますが、占い師としての面でも大いにマイナスです。その責任者の方は“若いお客様がそんな人相手に恋愛相談なんかしたがらないよね”とおっしゃっていました。占いで多いテーマは老若男女問わず“恋愛”です。つまり恋愛相談したいか(できそうか)とお客様に思われるか、という点も、“良い占い師”に陰ながら存在しているのです」

―見た目も大事…ということですね?

高遠先生「占い師は見た目にも気をつかうべきだと思います。今のセーターの話だと、“よれよれのセーター→見た目を気にしない→恋愛には無縁”とお客様がイメージしてしまうので、“この人には恋愛相談したくない”となるでしょう。同じように“よれよれのセーター→外に出ない→仕事できなさそう”とお客様がイメージしたとすれば、“仕事相談してもわかってくれなさそう”と考えるかもしれなせん。男性占い師も、女性占い師も、必要以上に飾り立てる必要はないのですが、清潔で自分に似合っていて“センスが良い”と思われるように心がけましょう」

―たしかに、せっかく占ってもらうなら特別感が欲しいです。その時にあまりに普通の雰囲気だと、まぁ…きちんと占ってもらえればいいんですけど、ちょっとした非日常感も欲しいかなって思います。

高遠先生「その部分はお客様の隠れた願望なんですね。普通がいいという方もいらっしゃいますが、やはり非日常感が欲しい方のほうが多いでしょう。見た目に気をつかうのは、演出という意味でも大事だと思います。だからと言ってハデにしたり、大げさにする必要ははないですよ。あくまでも自分に似合っていることが重要です。先ほども言ったように、“センスが良い”と思ってもらえるのが大事ですからね」

―センス、ですか。

高遠先生「占いはセンスが問われます。言葉の選び方ひとつとっても、相手に合わせつつ伝えるべきことを伝えるためには、どう話せばいいのかを判断するセンスにかかっているといえるでしょう。常識とセンス、この二つを持ち合わせていることが“良い占い師”と言えるのではないかと思います」

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高遠明日香先生のプロフィール

西洋占星術鑑定・高遠明日香先生

来校スタイルの占い学校にて受付スタッフとして約6年間勤務。スタッフブログの更新を通じ、日常の中に占いの感覚を取り入れる話題や考察など数多く発信し好評を博す。学内の事務業務のほか、入学希望者や受講生の相談に随時対応し、その際の体験が今回の記事の元になっている。在職中に占い師としてプロデビューを果たし、現在は鑑定や原稿などで細くゆるく活動中。

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