消費者契約法の改正で霊感商法が狙い撃ちに。スピリチュアルや占いはどうなるの?

著者・田中(あらいちゅー)の自画像田中(あらいちゅー), 馬主で大家で占い師田中(あらいちゅー) @araichuu Twitter

霊感で脅して結ばせた契約は取り消し可能

2019年6月15日から、改正された消費者契約法が施行されます。今回は「霊感」という言葉がしっかり法律に盛り込まれました。占い師になるには法律の勉強も必須ですから、知っておきましょう。

消費者契約法と消費者

法律に関しては私の専門ではないので、各自で消費者契約法の条文を読んでいただければと思うのですが、消費者庁のホームページにはQ&A形式で改正のポイントが優しく解説されています。今回はこちらをご紹介します!

霊感等による知見を用いた告知についてのQ&A

(以下本項、消費者庁のホームページより)

霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取消しを認めるのはなぜですか。どのような事例が救済されますか。

(答)
1.霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示して消費者の不安をあおるなどの行為により、望まぬ契約を締結させられるという消費者被害が発生しています。

2.このような消費者被害の救済について、これまでは公序良俗違反による無効(民法第 90条)や不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)といった一般的な規定に委ねられていましたが、これらの規定は要件が抽象的であり、どのような場合に適用されるかが、消費者にとって必ずしも明確ではない部分がありました。

3.そこで、消費者契約の特性を踏まえた明確な要件を定めて、霊感等による知見を用いた告知による消費者契約の取消しを認める規定を消費者契約法に設けることとしました。

4.具体的には、
・霊感(注1)その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、
・そのままでは重大な不利益(注2)を与える事態が生ずる旨を示して不安をあおり、
・契約を締結することにより確実に重大な不利益を回避できる旨告げたときに、
取り消すことができることとするものです。
(注1)「霊感」とは、除霊、災いの除去や運勢の改善など、超自然的な現象を実現する能力を指します。「その他の合理的に実証することが困難な特別な能力」としては、いわゆる超能力が当たります。
(注2)当該消費者の死亡や病気のみならず、家族の死亡や病気も含まれます。また、不幸になる等、漠然としたものであっても含まれます。

5.例えば、以下のような事例が救済すべき事例として考えられます。
・70歳の消費者が、新聞広告に載っていた悩み相談を申し込み、なかなか治らない持病についての悩みを打ち明けて相談した。相談を受けた事業者は、「あなたには悪霊が取りついているので、このままではもっと病状がひどくなるだろう。この石と数珠で悪霊を閉じ込めれば、間違いなく病気は治る。」と告げて、高額な石と数珠を購入させた。

消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号) | 消費者庁

霊感で壺や石を売るのが明確にアウトに

前項の例の通り、霊感で客を脅かして、壷や石を売りつけた場合は契約を取り消すことができるようになります。

一部の占いの館では相談料金を安くするかわりに、霊感を根拠に怪しいグッズを売りつけたりしているようですが、そういった契約は取り消せるというのがハッキリ示されたわけです。

(いままでも一般的な規定で対処可能でしたが、霊感商法への対応が明確で具体的になったということです)

スピリチュアルや占いはどうなの?

そして個人的に気になるのが「スピリチュアルや占いもこの範疇に入るのか」という点です。

このQ&Aでは「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見」とされており、超能力がその例として挙げられています。巷に氾濫しているスピリチュアル業者は完全にこの範疇でしょうし、素直に読めば占いもここに入るようにも見えます。

霊感やスピリチュアルを売りにして、外道な商売をしている人が苦しくなるなら大歓迎ですが、まっとうに商売している方でも、パワーストーンや護符、宝石処方などの物品販売、地鎮、水子供養代行などの使役役務を扱っておられる方もいるのではと思います。

これからは売る方にもますます勉強が必要ですし、お互いに納得できる良心的な商売を心がけていかなくてはいけませんね。うちは物を売っていませんが、心したいと思います!

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